信州有明里仁科基

信州有明里仁科基記載の時代区分(文化庁重要文化指定目録の基準)

  •  奈良時代:和同~天応(648~781)

  •  平安時代:延暦~元暦(782~1184)

  •  鎌倉時代:文治~元弘(1185~1333)

  •  南北朝時代:建武~明徳(1334~1393)

  •  室町時代:応永~永禄 (1394~1569)

  •  安土桃山時代:元亀~慶長7年(1570~1602)

  •  江戸時代:慶長8年~慶応(1603~1867)


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1. 泉小太郎伝説(1ページ~4ページ)

 人皇十二代景行天皇十二年までは、松本、安曇の平は山々の沢から落ちる水をたたえた湖でした。そして、ここに犀龍という者がおり、東の高梨(今の須坂市高梨あたり)というところの池には東の高梨の池に白龍王という者がいた。やがて2人は、夫婦となり鉢伏山というところで、男の子が生まれました。
 日光泉小太郎と名づけられた男の子は、放光寺山(松本市城山)あたりで立派に成長しました。泉小太郎が大きくなるにつれて、母の犀龍は自分のすがたをはずかしく思い、湖のそこにかくれてしまいました。小太郎は、こいしい母のゆくえをたずね回り、熊倉下田の奥の尾入沢(松本市島内と田沢の境)で、やっとめぐりあうことができたのです。母の犀龍は、小太郎に静かに語ってきかせました。「私は、諏訪大明神の化身である。氏子を栄えさせようと姿を変えているのです。おまえは、この湖を突き破り水を落して、人のすめる平地をつくるのです。さあ、わたしの背中に乗りなさい」言われて小太郎は、母犀龍の背中に乗りました。
 この地は今も犀乗沢とよばれています。二人は、山清路(生坂村)の巨岩をつきやぶり、さらに下流の水内の橋の下(信州新町)の岩山をつきやぶり、千曲川の川筋から越後(新潟県)の海まで乗りこんで行きました。その所の名を沼垂という。こうして、安曇平の広大な土地ができたのです。そして、小太郎と母犀龍が通った犀乗沢から千曲川と落ち合うところまでを、犀川とよぶようになりました。その後、犀龍は、白龍王を訪ねて坂木の横吹という所の岩穴に入った。
 小太郎は、有明の里に帰り、そこに住み子孫が繁昌した。年を経て白龍王は、犀竜と共に川会に来て対面した。白龍王の言うことに「我は日の神の霊である」といって犀龍と共に仏崎という所の岩穴に入ってお隠れになった。
 これから年久しく経った後、小太郎は「我は八峰権現の再来である。此の里を守護しよう」といってまた以前の岩穴に入って隠れた。その後、小太郎は有明の里(池田町十日市場)でくらし、子孫は大いに栄えたといいます。
 年を経て白竜王と犀竜ともに川会にきて対面した白竜王は「私は日輪の精霊 すなわち大日如来の化身です」といって犀竜とともに今の松川の一本木村西の山にある仏崎というところの岩穴に入って隠れた。これから年月が経ったあと小太郎は「私は八峯瀬権現の再誕である この里の繁栄を守護する」といって仏崎の岩山に隠れた。その後に 川合大明神の神社を建てて祀った。(信府統記旧俗伝(1724年刊行)から要約)

2. 奈良時代~平安時代(4ページ~5ページ)

3. 八面大王伝説(6ページ)

 桓武天皇の御代(平安時代)、有明山の麓の魏石鬼窟に八面大王という鬼が棲んでおり、ここを根城にして手下を連れて人里を荒らしていた。これを聞いた坂上田村麻呂が討伐に向かったものの、八面大王が魔力を使って矢を弾くので近づくことができなかったので、田村麻呂が観音堂に籠って祈願すると「33節の山鳥の尾で作った矢を使えば、大王の魔力に防がれることはないだろう」という夢の告げがあった。
 そこで田村麻呂は信濃の国中にその山鳥を探させる旨の布令を出すと、弥助という者が山鳥の尾を使った矢を献上してきた。この矢は弥助が以前に助けた山鳥の尾で作ったもので、その山鳥は人に化けて弥助の妻となっており、その恩返しとして自らの尾羽を残して去ったという。山鳥の矢を手に入れた田村麻呂が これで八面大王を討つと、魔力で防がれること無く射抜くことができ、これを以って八面大王は討ち取られた。八面大王の死体は、魔力によって蘇ることを恐れられて五体を切り離されて埋葬されることになった。大王の耳は「耳塚」、足は「立足」、首は「筑摩神社」、胴は「「御法田の大王農場」に埋められたという。

4. 鬼女紅葉伝説(7ページ~8ページ)

 平安時代、ゆえあって京の都から流刑にあった紅葉という女性が、都の文化を伝える一方で、人々の心を乱し、他村を荒らし、いつしか鬼女と呼ばれるようになりました。やがて朝廷の命で平維茂(たいらのこれもち)が紅葉を討伐したので、以来、この地は鬼の無い里「鬼無里(きなさ)」と呼ばれるようになりました。

5. 平安時代~鎌倉時代(8ページ~12ページ)

6. 南北朝時代~室町時代(13ページ~18ページ)

7. 室町時代~安土桃山時代(18ページ~20ページ)

8. 江戸時代(20ページ~25ページ)